第十一話 スピード

やっぱり遅いより速い方が良い。レーサーまでは望まないものの、スピード感があると
気持ちは良いもんです。

今日のマリーナ、天気は良いし、気温も15度まで上がり、土曜日ですからいつもり多く
ヨットが出ていました。こんな日は、ちょっと出れて、スイスイセーリングしてきたら気持
ち良いだろうな、って感じでした。デイセーラーにはもってこいの日和です。こういう時は
重くて、鈍いヨットより、気軽で速い方が面白い。もちろん、速ければ良いとは言いませ
ん。最も大切なのは気軽さです。そして気軽で居られる範囲内では速い方が良い。

重くて鈍いヨットは、たいして操作も要らない。少し何か動かしても鈍いのですから、あま
り敏感な反応を示してはくれません。舵きってもゆっくりしか動かない。ロング向きですね
こういうヨットは。反面、敏感なのはちょっとの操作で反応してくれますから、神経を使い
ます。クルージングでは、あくまでスポーツの範囲ですから、極端は避けたい。気軽さは
残しつつ、ある程度は反応してくれて、操作とそれに対する反応を楽しみたいもんです。

速さを判定するのにいろんな難しい計算式がありますが、もっと素人で簡単に解る方法
は無いもんでしょうか。パワーボートに船体重量に対するエンジンの馬力という考え方が
あり、重量をエンジン馬力で割る。すると、1馬力あたりにかかる重量が解ります。これ
と同じ考え方でいきますと、エンジン馬力はセールエリアにになりますから、各艇のセー
ル面積、I,J,P,Eから簡単な算数でセール面積が出ます。艇の重量をこのセール面積で
割る。すると、セールの1㎡につき、かかる重量が解ります。これが大きい程、セールに
かかる負担が大きい。また、ヨットは水線長がものを言う。それで、この数値をさらに、
水線長で割る。つまり、水線長が長い方が数値が小さくなる。そして、数値が小さいほど
速い?いやいや、こんな単純な話では無いでしょうね。でも、こういう事を自分なりに考え
るのも面白いもんです。この計算式は信用しないで下さい。思いつきで書いただけです。

速さもほしいが、乗り心地もあまり悪いのは勘弁してもらいたい。操作が敏感すぎるのも
疲れてしまう。この辺の微妙なバランスが難しいですね。でも、スポーツするなら、クルー
ジングの中でのハイパフォーマンスと言われるぐらい(言うのは勝手ですが)、その中から
考えても、当たらずとも遠からずですかね。まあ、重量とセールエリア、水線長を見比べて
こっちの方が速い気がする程度でも良いかもしれませんね。そんなにシビアに考える事も
無いでしょう。でも、最近のカタログではIJPEの記載が無く、セールエリア何㎡としか記載
が無い場合があります。これではジェノアか100%か解らないので判定できない。最近で
はこういうデータが少しづつ記載されなくなってきた。何故でしょう?

ロングに行く場合を除いて、通常のデイセーリングでは、やっぱり良く走ってくれると面白い
し、何もしないより、何か操作をして反応してくれて、スピードがわずかでも出ると、面白くな
る。アクション、リアクション、そしてまたアクション、これが面白い。何もしないで、ただスピ
ードが出るより、アクション、リアクションの方が面白い。アクション、ノーリアクションも面白
くない。クルージングと言いますが、そういう時もあります。漂うようにセーリングして気持ち
が良い時もある。でも、トータルで考えた場合、速いのは遅くにもできるが、遅いのは速く
にはならないので、やっぱりちょっと速いぐらいが面白いのではと思います。

この間、ちょっと一緒にオーナーと乗りました。典型的クルージングヨットです。こういう方で
も、ちょっとスピードが速くなると、おっ、スピード出てきたね、と喜ばれる。やっぱり、誰でも
バタバタ体力は使いたくは無いが、速いのは好きなんですね。

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