第十四話 オーナーとヨットとの関係

今日は、知り合いの業者の方から聞いた話をお話します。ヨットを買うというのは
どういう事か、それは男にとって、ヨットは彼女と同じである。予算内で、できるだ
け美人に、良い彼女を見つけたい。そして、手をかけ、お金をかけ、大事にして、
そして、大事にされた彼女はその期待に応えてくれる。いや、期待に応えてくれる
ように、大事にする。これは世界共通でっせ!ヨット探す時、このヨット(彼女)は
俺の期待に応えてくれるやろうか?そう思って探す。

なるほど、ヨットは女性名詞で、英語で呼ぶ時は”SHE”と言う。彼女はオーナーが
大事にしないと全く期待に応えてくれません。月に何回かかもしれん、でも、朝から
いそいそと期待しながら出かける。その時の為に、あっちこっち磨き上げます。
そして、期待通りのセーリングができたら、また、行こうという気になります。
ヨットは彼女ですから、できるだけ可愛く、美しいのが良い。でも、美しいのは他人
が決めるのでは無く、オーナー持っている美意識が大事。ですから、どんなヨット
でも良い。でも、オーナーが気に入る事が大事ですね。

そういう話を聞いて、かつて、ここに書きました構造や工法、そういう品質の良さも
大事だけれど、もっと大事な事は、オーナーが自分の彼女にするに相応しい、自分
の美意識で気に入ったヨットにする事、そしてそのヨットはオーナーの自己表現でも
あるという事。遊びやから、理屈じゃないんですね。勉強になりました。言われてみれ
ばその通り、気に入れば、そのヨット(彼女)の良いところばかりを見つけようと思い
ます。どんな物にも欠点はある。でも、欠点より良い所が目に飛び込んできます。
遊びにはそれが大事なんですね。

やがて、もっと違う乗り方をしたい時、新しい別のヨット(彼女)がほしくなる。もちろん、
構造や工法がどうでも良いわけではありません。これも重要な事だとは思います。でも
その前に、オーナーが気に入って、可愛がろうという気になるヨット(彼女)でなければ
ならない。

ほっといたら、彼女は不機嫌になります。言う事きかんようになる。ですから、ご機嫌
とりにお金も使ってやらねばなりません。可愛がってやらねばなりません。自分が機嫌
良く乗りたかったら、彼女にも機嫌をよくしてもらわなければなりません。それをしない
から彼女は不機嫌になり、オーナーも機嫌よく乗れなくなりますね。両方が機嫌が良い
時、最高のセーリングができますね。

オーナーとヨットは、丁度男と女の関係と全く同じ関係にある。という事は、我々業者は
ポン引きと同じ。ならば。そう思って、できるだけ良い女を紹介しましょう、という事にな
る。おとなしいのや、じゃじゃ馬や、美形やいろんなのがあります。こう思って見ると、
面白いですね。

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