第四十六話 セールを上げる
| 先日乗ったヨット、この所小さなヨットしか乗っていなかったせいか、体力が落ちたのか、セールを上げるのに、重い事、スライダーの摩擦もあるが、それにしてもしんどかったです。私だけでは無く みなさんも同じ思いをされた方は多いのではないでしょうか。若いクルーが居るなら良いのですが、近頃はそんなクルーをキープするのは困難です。 それでジェノアはもちろん、メインもファーラーにするケースが珍しくなくなりました。気持ちは良く解ります。でも、セーリングの効率を考えると、マストファーラーより、ブームファーラー、費用の事も考えますと、既存の重いダクロンセールが古いのなら、思い切って、軽い素材に変えたり、スライダーにベアリング付きにする方法もあります。さらに電動ウィンチとなると、もう楽チンですね。 年齢を重ねるに従って、体力は落ちる。日頃から鍛えてある方は良いのですが、そうでは無い方々には、これからの事も考えると、船を小さくしていくか、セールを変えるか、装備を考えて、楽にセールを上げれるようにヨットのシステムも変化させていくのが良いと思います。でないと、しんどさが大きくなって、気軽には乗れなくなってしまいます。乗る前に、あのセールを上げていく、ウィンチにかける力の事が脳裏に浮かび、それに連れて、いろんな煩わしさを思い、また、今度にしようなんて事になりかねない。 若いマッチョなクルーをキープできないなら、そこのところを是非検討して、無理しないでできる程度に装備を変えていくのも良い。最新の艤装はそういう風に使って頂きたいと思います。逆に、装備をシンプルにして、ヨットのサイズダウンを考えても良いです。小さなヨットはウィンチ無しでも上げられる。最後にテンションをかける為にウィンチでちょいと引く。簡単です。或いは、メインセールをあげて、カニンガムを設置して、テンションはカニンガムで行うという方法もある。ジェノアはセルフタッキングシステムという手もある。セルフタッキングにするとジェノアセールが小さくなるからしないという方もおられますが、それをする事によって気軽に出れるなら、それも良いと思います。 昔は、たいていクルーがたくさんいましたから、でかいセールでもマニュアルウィンチを使って、若いクルーがセールを上げていました。オーナーが上げるわけではなかったので、オーナーが苦になる事はなかったし、クルーもヨットに乗れる喜びで、苦にならなかった。でも、最近の事情は違います。若いクルーは丘で遊んでいるので、マリーナは高年齢化が進み、でかいセールはオーナーが上げなければならなくなってきました。それも昔のように体力はなくなったので、それなら、装備を若くしようという事です。 とにかく、体力と相談しながら、今後も気軽にセーリングを続ける為に、そういう艤装の工夫をして頂きたい。特に、デイセーリングを気軽に楽しむには、毎回セールを上げて、頻繁にタックとジャイブを繰り返す。そういう事をあまり億劫がってはいけませんが、そういう動作を楽しめるように、装備を工夫していくと、いくつになっても、現役で、気軽にセーリングを堪能できます。艤装を工夫していくか、ヨットのサイズを落とすか、そういう事も考えてください。 あるオーナーは年齢とともにヨットのサイズを小さくされました。最初はみんな何故？と思っていたようです。誰もが、サイズアップが普通だと思っていたからです。でも、このオーナー、７０歳をすぎて現役バリバリで、気軽にどこにでも出かけていかれます。多分、出航回数もこのマリーナではトップではないでしょうか。大きければ良いとは言えない。自分に合っているのが最も良いという事になります。みんな小さくしましょうという話では無く、体力に見合ったヨット、艤装を工夫して、気軽にセーリングができるようにしましょうという話です。 |