第八十四話 ジブブーム

アレリオンのホイト氏はまたまたやってくれました。元々、このセルフタッキングにおけるジブブームはホイト氏の発案なんのですが、これに改良が加わりました。



彼はデイセーリングが面白いという考え方で、これは私も同感です。それもシングルハンドで簡単に操船できれば、ゲストが来ても何と気楽な事か、これも同感です。それで、アレリオン28というクラシックデザインのヨットをシングルハンド仕様にして、しかも、セーリングパフォーマンスを向上させました。シングルという事を考慮して、ジブをセルフタッキングにした。その分メインセールを大きくするという仕様でした。

ファーリング仕様のセルフタッキングジブは実にシングルでのセーリングを容易にしたのですが、上りにおいては良いが、ダウンウィンドにおいては、ジェノアセールと同様にセールがうまく開いてくれない。そこで、ジブブームを考案し、ダウンウィンドにおいても、ジブがメインセールと同じように開いてくれるように改良。これだけでも、うまく開かないジェノアよりも数段速くなったわけです。

そうなると今度は別な面が見えてきます。風が弱い時、ダウンウィンドでは後ろからの風になりますので、それは実感された方は多いと思います。やはりセールが重さで思うようには開いてくれません。本来ならスピンかジェネカーの登場場面なのですが、ホイト氏はシングルである事も想定しているので、何とか改良できないかと考えました。それが今度はこのジブブームにピストンをつけて無負荷の状態ではブームが外に押し出されるようにしました。ライトエアーイクステンダーです。ちょうど車のトランクがロックされない時は上に開きます。それと同じ理屈です。

この装置はジブブームがシートを引かない限り、常に外側に出ようとする力が働いています。
全く風が無い状態、或いはセールを出していない状態で、シートを引く、そうするとブームは中央まで寄ってきて、中央を越えたところで、反対側の外側に自動的にぐっと押し出されます。という事は風が弱い時にもこのジブブームの力で、セールは外に押し出す事ができる。ダウンウィンド微風の場合、自動的にセールが開いてくれる。そして、シートを引けば、思い通りの角度を得られるわけです。なる程、いろいろ考えられるもんですね。これは素晴らしいと思います。

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アメリカのアレリオン28は、これだけのワンデザインレースもやってます。その規定はスピン又はジェネカー無しなんですね。このジブブームがあれば、スピンやジェネカー程は無いにしろ、ダウンウィンドも気軽にシングルで楽しめる。

いろんなクルージング艇での発明がありますが、こういうちょっとしたアイデアで、楽しみは倍増、使いやすくて、速くて、面白くて、素晴らしいです。

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