第2話 彼は何を知っているのか?

毎日、毎日、暇さえあればマリーナに来られる方がおられます。海の状況さえ良ければ、さーっとセー
リングに出て、出ない時はヨット磨いたり、何かを工夫したり、読書したり、昼寝したり、別の趣味をし
たり、雨が降っても、雪が降っても、彼はそこに居る。

セーリングに出ては、次はこうしよう、ああしよう、これを試してみよう。実に飽きる事の無いようです。
一体何がそんなに楽しいんでしょうかね?それともよっぽど暇なんでしょうか。彼は自分でビジネスを
やっておられた。そして時期が来たと会社を売り、燃え尽き症候群になる事も無く、今度はヨットに頭
を切りかえられた。

楽しいかどうかなんて、頭で考えてわかるもんじゃないよ。やってみなきゃ解らん。仕事は結果を出さ
なきゃならんが、遊びに結果は要らない。やる事自体が楽しいかどうか。それだけよ。良い時もあれば
悪い時もある。それでも、頭の中で考えているだけより、俺の方がよっぽど生きてると思うよ。最近の
人はさ、頭良いから、先の事を考えるだろう。それはそれで良いんだけど、余計な事も考えるんだな。
先に考えて、良いとか悪いとか、たいした事無いとか。そんな事考えるだろ、反面、こうなったら楽し
いとか、楽しい条件も考えるわけよ。すると人間てのは、自分で想像した楽しい事しか楽しいと思わな
くなる。するとそれ以外はやれないわけよ。だけど条件つければつけるだけ、やれる事は少なくなる。
俺も年とってきてさ、ライフライン超えようと思って、超えたつもりがライフラインに足ひかかってさ、嫌ん
なるよ。でも、先考えてたら乗れなくなるよ。今ある状態で、乗れる内に乗る。本当に乗れなくなったら
その時はまたできる事をするさ。

ヨット.飽きないね。こんな面白いもん無いよ。年だから無理はしないよ。でも、毎日来て、いつでも出れ
るように待機してんだな。もう習慣みたいになってるけど、毎日、海の状態は違う、だからいつも初心者
みたいなもんよ。もう20年以上海に出てるけど、今日は良い走りだったなという時が今でもあるよ。

楽しいかどうかだけでやるなら、飽きてしまう。自然の変化に意識があれば、変化を楽しむ事ができる。
だから永遠に飽きる事は無いのではないでしょうか。何でも同じではないでしょうか。音楽やるにしても
好きな曲だからといって、毎日同じ曲では飽きてしまう。要は変化を楽しむ事ができるかどうかのようです。

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