第42話 意識を変える
あるオーナーの話をしましょう。53フィートのヨットにシングルハンドで乗る人です。信じられます?一人で
出航して、セーリングして、ひとりで帰ってくる。全部一人。53フィートですよ。そしてこのオーナーは決して
ベテランでは無いという事です。それどころか、ヨットの経験はここ数年です。
私の想像ですが、彼の意識には我々一般が持つ既成概念がなかった。一般的にはシングルハンドでは
30フィートぐらいまでとか言いますが、そんな事は全く頭になかったのではないでしょうか。だから、できちゃ
うんですね。人間というものはすごいです。オーナーに聞いてみると、何とか一人でも行けるだろう、と勝手に
思って、出てしまったのがきっかけ。あっさりしたもんです。
このオーナーは例外かもしれません。決してお奨めしているわけでは無い。でも、我々の持つ意識というのは
大変重要だという事が解ります。我々一人一人の行動は我々自身の意識から出る事ができないという事です。
自分で自分に足枷をしているという事です。ヨットは自分にできるかなと思っている人。できるか、できないかが
問題では無い。したいか、したくないかが重要だという事です。心配している人は自分ではできないと、自分に
ブレーキをかけてしまう。面白いか面白くないかが重要なのではないでしょうか。
アメリカに大きなマリーナがありますね。係留されているヨットを見るとどれもでかい。50フィートや60フィートなど
ざらです。30フィートの小さい事。そういう環境にいると、30フィートなど、へでもない。そんな気分にさせられます。
環境によって意識が異なってきます。ついつい大きいのに乗りたくなる。大きいか小さいか、全ては相対的であり
それをどう見るかの意識の問題だと思いますね。できないと思えばできない。どおって事は無い、それがどうした。
と思えば、何てことは無いのです。
面白いと思った事はどんどんやってみよう。いつも、その後に理性が来て、心配し始めます。この理性は自分のもの
なのに邪魔ばかりする。本当の自分を小さく、小さく、してしまう。理性は本当の自分では無い。理性をしばらく
黙らせて、感じた事を大切にしてはどうでしょうか。そうです。迷わず、ヨットを始めましょう。
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