第４３話　再び、スポーツ的ヨットの勧め

ヨーロッパの雑誌に興味深い記事が出ていました。決してレーシングヨットでは無く、あくまでクルージング
なのですが、コンセプトはデイセーラー、シングルハンド、ハイパフォーマンスです。デイセーリングは最も我々
が使う乗り方です。こういうデイセーリングではやはり単なる移動手段として使うより、セーリング性能を楽しみ
たい。そういう方々は同時に、気軽に乗れるハンドリングのし易さ、そしてクルーの要らないシングルハンド、
こういうコンセプトが望まれています。

速いヨットというとレースという概念がありますが、従来のジャンルにスポーツヨットを加えたいと思います。レース
にはあまり興味は無い、でもセーリングそのものを味わいたい、特にデイセーリングならスポーツとしてとらえ、
速いヨットに乗りたい。そういう希望があってしかるべきなのではないでしょうか。そして、レーシングヨットのように
クルーを必要としないヨット。これが理想です。キャビンでどれだけくつろぐ事があるでしょうか、それにしても自宅
のような快適さがヨットに必要でしょうか？ロングクルージングならいざ知らず、デイセーリングか１，２泊程度には
自宅の快適さより、ヨットとしての快適さの方が絶対楽しめる。そう思っています。

リグはフラクショナル、ジブはセルフタッキングのファーリングシステムとし、大きめのメインセール、そしてジェネカー
という設定、重心は低く、バラスト比はできるだけ高くしたいですね。クルーが居ないので、ヒールを起こして走ると
いう使い方ではありません。シングルハンドでジェネカーというのは少々厳しいかもしれませんが、ジェネカーはあと
一人か二人いるときに使う。或いは、ファーリングジェネカーというのもあります。とにかく、楽に操船できて、速い
デイセーラーをスポーツとして楽しむ。これはお奨めです。こういう乗り方は実に面白いと思います。

実は非常に驚きのヨットがあるんです。詳しくは後日ご紹介致しますが、４４フィートで全く上記のような仕様、そして
これをシングルハンドデイセーラーと位置付けているんです。軽い船体、５０％を越えるバラスト比、セルフタッキング
ジブに大きなファーリングメイン、そして圧巻は全てが油圧でコントロールすることができる。それもセールを上げるとか
ファーラーで巻き取るとかのみでは無く、トリミングが全てボタンひとつでコントロールできる。シンプルなフラットデッキ
はチークデッキとし、非常に美しいデザインで、さすが、という感じ、まいりました、という感じです。通常、４４フィートを
シングルハンドで操船とは考えませんが、これは全てを油圧コントロールにする事で可能としたばかりではなく、楽に
セーリングを楽しめる域にまで高めている。すごいです。

と感心していましたら、ありました。アメリカにも同じようなコンセプトです。こちらは４０フィート。クラシックなデザイン
しかし、シングルハンド楽々操作。やはり、皆さん同じように考えているんですね。速くて、楽で、気軽にヨットの真髄
を楽しみたい。こういうヨットがどんどん増えていくと思います。小型サイズなら油圧なんて要りません。

とにかく、スポーツとしてのヨットを考えてみませんか？これからのヨットとして最高です。もう、従来のヨットの古いコンセ
プトなどは不要、これからはセーリングを気軽に、シングルでも、その性能を楽しめる。こういうヨットをお奨めします。


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