第55話 クルージングヨットの限界
今のヨットを眺めていると、もう限界に近づいてきているような気がします。インテリアは広く、
何でも付いている。ジブファーラーにメインファーラー、オートパイロットにGPS、いたれりつく
せりではないでしょうか。後は、これらに電動ウィンチが一般化していくような気がします。
これで、さらに楽に乗れますよ。という文句が聞こえそうです。これ以上、どうしようってんでし
ょうか。こういう装備なら、何日もかけてクルージングするには良いですね。
限界だと言うのは、こういうフル装備艇が一般化している事です。一般化しているという事は
何日もかけてクルージングをする人が一般的だという事です。だけど、この一般的な人と思わ
れる人が少ない。殆ど居ない。という事は何日もかけてクルージングするというのは、本当は
一般的では無いという事になりませんか?
つまり、何日もかけてロングクルージングする人は特殊な人達です。その特殊な人達向けの
装備を一般的な人達が購入している。それも、船体はロングクルージング向けでも無いのに、
装備だけはそういう装備、これが限界に近いという意味です。
一般的な人達はデイセーリングを殆どとして、せいぜい1泊か2泊程度で使っている。それに対
して、造船所は快適な生活空間を提供せんとしている。この快適な生活空間は殆ど乗らない時
に船内で過ごすのに便利という状況ではないでしょうか。逆に、セーリングには不便という場合
もある。必要でも無い人達に必要と思わせてきた。
今後も造船所は何か装備を増やす事と快適な生活空間を提供すべく、新しいデザインを投入して
くるでしょう。でも、もう限界ではないでしょうか。そういう差別化の方向性は限界に来ているような
気がします。使われてはじめて次のステップへ進化するなら良いのですが、誰も使っていないの
ですから。
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