第５９話　重いヨット、軽いヨット

帆走を楽しむのに帆走性能の高いヨット、それは軽いヨットという式になってきますが、
帆走を楽しむのに軽い事が絶対条件では無いと思います。どんなヨットでも帆走を楽し
む事はできます。ただ、どんな状況で乗るかという事を考慮する必要があると思います。

シングルハンドであれば、軽いか重いかという前に重心の低い、バラスト比の高い、スタ
ビリティーの高いヨットをお奨めします。クルーが常に居るなら、そうでも無いですが、それ
でも安定感のある方が乗りやすい。

しかしながら、キャビンを大きくして、内装もたっぷりあるようなヨットの重心を低くするには、
相当なバラストを設置しなければならない、そうするとますます重量は重くなる。あまり重く
なるのを避ける為、バラスト比は低い、そうするとシングルでは乗りにくい。

軽いヨットの方が速いに決まっています。これは船体強度にもかかわってきます。ＦＲＰを薄く
造ると強度が落ちる。実際、艇体はねじれます。強度を先に持ってくると重量が増す。その
両方を兼ねようとするとハイテク素材／技術を使って価格が高くなる。

重いヨットは一般的に微風には弱いが強風に強い。軽いヨットがリーフしている中をフルセール
でも走れる事はよくあるものです。そうすると強風時は軽いヨットより速いかもしれません。

ただ、できるだけオールマイティーを望むというところでは、軽いヨット、重心の低さ、価格も高く
無く、という事では、それではキャビンをある程度犠牲にしようか、という事になるわけです。

これまではデイセーラーでキャビンもそれ程活用しないのに、キャビンを重視してきた。そういう
方々にキャビンでは無く、走る事を重視してはどうですかと呼びかけます。低い重心、帆走性能
の高さ、その方が面白いというわけです。ただ、あまり軽いと波に翻弄されたりという事もあります
から、艇体がしっかりした、その為に少し重くなっても良いと思います。
どのヨットが良いとか悪いとかでは無く、どういう乗り方をするかですね。それで、見ていると皆さん
デイセーラーだし、クルー不足もあるし、結局、稼働率も低い。それで、スポーツヨットはどうですか
とお勧めしているわけです。ヨットに寝泊りして多いに使ってある方はキャビン重視でも良い、でも
そういう方は非常に少ない。

こういう現状を見ながら、シングルハンドをお奨めしています。そしてシングルハンドで乗りやすい
ヨット、同時に帆走を楽しめるヨット、そういうのをお奨めしているわけです。


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