第84話 エンジンでの機走スピード

ヨットとはいえエンジンで走る場合もあるわけですが、例えば、エンジンのパワーを大きくしたり
プロペラを交換したりしたとしても、どの程度までスピードが出せるようになるのか、興味ありま
せんか?

簡単に計算する方法がありますので、ご紹介しましょう。ヨットの場合、モーターボートと違って、
エンジンで滑走する事は無いですよね。いくらエンジンを大きくしてもスピードに限界があります。
この場合、スピードは排水量と水線長にかかわってきます。スピード/水線長比に1.34という
数値を一般的に使います。これは非常に軽いヨットであれば数値が大きくなり、重いヨットであれば
数値が小さくなりますが、殆どはこの数値に近いものです。例え、理論的にもっとスピードが出る
という計算が成り立っていたとしても、殆どがそれを可能にする為の大きなエンジンの搭載が物理
的に無理であったり、プロペラのサイズアップができなかったりするものです。そこで、殆ど、この
数値、1.34(Speed/Lenghth S/L比)を使います。

例えば、30フィートのヨットで25フィートの水線長を持っているとします。この場合、√25 x 1.34
=6.7ノット 理論的には6.7ノットのスピードを出す事ができます。

この1.34という係数は船体重量(ポンド)を搭載エンジンの馬力で割ると、1馬力あたりにかかる
重量は480ポンドぐらいです。所有艇の重量をポンドにして、エンジン馬力で割ってみて下さい。
その値が480ポンド以上なら、この計算で出せるスピードより以下になり、480ポンド以下なら
プロペラを変える事によってもっとスピードを出せるようにできます。

但し, このターゲットボートスピードから大きく変わる事は無く、いろいろ試してお金と労力を使った
割りに、わずかなスピードアップにしか繋がらない。それで、一般的に1.34という数値を使っています。

セーバー402というヨットは水線長が34フィートです。この計算でいくと、√34 x 1.34=7.8ノット
しかし、重量を考慮した計算をするとS/L比が1.54になります。この1.54で計算しますと、
√34 x 1.54 =8.99ノット可能です。 ところが、この8.99ノットを達成する為にはエンジン1馬力
あたりの重量が240ポンドぐらいにならなければなりません。そうすると約80馬力ぐらいのエンジンを
搭載しなければなりません。実際、これは無理な話です。 また、プロペラのサイズの問題もあり、船底
との接触してはいけませんので、計算数値の直径を持つプロペラを設置できない事もあります。

こういう事を考慮して、1.34というのは結構実際的な数値として使えるという事になります。

エンジンやプロペラのサイズを決定する計算は複雑です。ここには参考までに1.34ルールを紹介
しました。


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