サイズと種類について

これからヨットを始めたいという方々を対象に、ヨットについて、様々な面を検討していきたいと思います。もし、少しでも参考になれば、幸いです。但し、ヨットの各部の名称等、走る理論等は、そういう本を読んで頂きたいと思います。細かい部分の前に、ヨットという物、遊び、セーリング等をざっくり全体的に捉える事は無駄では無いと思います。私なりの考え方ですので、絶対ではありませんので鵜呑みにはしないで下さい。

入門用ヨット
そんなヨットがあるのか?と言いますと、無いと考えた方が良いと思います。ただ、全部ヨットは同じかと言いますと、全然違います。もし、ヨットで外国まで行くとしますと、外洋ヨットと言われるのがあります。外国にまで行くには、相当な日数がかかります。という事は海が荒れる事も当然あり、そういう場合でも港に逃げ込む事ができない。従って、その荒れた海でも、何日でも耐えうる頑丈さを持つヨットでなければなりません。その他、積載貨物が多くなるので、そのキャパシティーも必要ですし、また、何日も何日も操船しなければなりませんから、多少ほっといても勝手に走ってくれるぐらいが良い。多少は鈍いぐらいが良い。外洋ヨットは様々な面において、そういう配慮がなされています。

外国まで行こうとする方はそう多くはありません。一般的には、殆どが、ホームポートを中心にした沿岸のクルージングになると思います。いわゆる、沿岸クルージングと言われますが、言葉通り、岸に近い海岸線沿いをクルージングしますので、海が時化てきたとなりますと、どこかの港に逃げ込む事ができます。ですから、外洋艇ほど頑丈である必要も無い。日本一周も沿岸航海で行けますので、この沿岸用ヨットで十分行けます。

次にレースをするヨットというのがあります。もちろん、アマチュアのレースとして、楽しみながら参加する事もできますので、何としても勝利を、と願うのでなければ、どんなヨットで出ても構わない。お祭り的な楽しみとして出ても良いわけです。レーサーは本格的なレースヨットもあれば、クルージング艇との中間的なヨット、クルーザー/レーサーというのもあります。キャビンも充実していて、尚且つ帆走もそこそこ速いヨットと考えた方が良いと思います。

さて、もうひとつ。ヨットはクルージングとレースとありますが、もうひとつ、セーリングそのものを楽しむ遊び方もあります。どこか遠くに行く事は無く、せいぜい1,2泊程度。それより、日常において、セーリングを楽しむというヨットです。デイセーラーと言われます。

入門用に造られたヨットというのは無いのですが、これから始める方には、沿岸用のヨット、又はデイセーラーが良いと思います。どちらも入門用では無く、そのジャンルにおいて何十年でも乗れるヨットです。将来、遠くへ行きたいとか思われる方々は多いと思いますが、その時、買い替えをしないで良いようにと、その先々の為に使えるヨットと考える方が少なくありませんが、これはあまりお勧めできません。人にもよりますが、特に最近の沿岸クルージング艇は、全長は同じでも、幅が広くなり、天井も高くなり、ボリュームがかなり大きくなってきています。そのボリューム感に圧倒されたり、強い風が船体にあたって、それで風の影響を受けやすかったりしますので、操船が難しくなる可能性があります。慣れた方には問題無くても、初めての方には、ちょっとこれでつまづいて、乗れなくなる可能性も無いわけではありません。
それで、せいぜい大きくても、27か28フィート以下ぐらいではないかと思います。1フィートは約30cmです。28フィートなら、約8.4m(船体の前から後ろまで)、これでも十分なキャビンがあります。もう少し小さくても良いぐらいです。小さい分はOKでしょう。昔の30フィートと今の30フィートはぜんぜんボリュームが異なります。

デイセーラーはと言いますと、クルージング用とは全くデザインが異なります。ボリュームは意図的に、小さく、低く造られていますので、同じサイズでもボリューム感は全く違います。それで、クルージング艇よりも少し大きくても、大丈夫かと思います。もし、同じサイズなら、デイセーラーの方がもっと楽に操船できると思います。


操船するには、舵がありますが、この舵には二種類あって、車のようにステアリングホィールというもの、小さいサイズには少ないですが、あるのはあります。操船は車と同じ感覚です。もうひとつは、舵に直接、長い棒が挿してあり、ティラーと言いますが、それを右、左と動かして、進行方向を決めます。どちらが良いか?最初はティラーの方が良いと思います。何故なら、舵を切った方角、切った角度がティラーで明確にわかるからです。ステアリングホィールでは、それが解らなくなる時があります。狭いマリーナで、舵の方角が解らなくなる時が実際にあります。左にきったつもりだったが、風の影響とかその他で、右に最初だけ少し動いたりする事もあるからです。ですから、最初はティラーが良いと思います。また、この他にも、もっとレベルが上がった時にでも、ティラーが良い理由もあります。もちろん、ステアリングホィールが良い理由もあります。でも、まずは、ティラーが良いと思います。

新艇か中古艇か
これはどちらでも構いません。中古にしても、ヨットは大変長持ちです。余程、造りが悪く無い限り、50年ぐらいはゆっくり持つでしょうし、造りが良いなら100年ぐらい持つかもしれません。でも、整備状況によっては、修理等に費用がかかりますので、そのあたりは業者さんに聞いて下さい。

結論
クルージング艇、又はデイセーラーで、サイズは28フィート以下ぐらい。あくまで最初にヨットというものの操船を十分に習得する為です。もちろん、このまま何十年乗っても構いません。別に、入門用ではありませんから。ヨットは、5年、10年、20年、それ以上と長く乗り続けるのが前提です。その間に買い替えしないで良いようにと考える気持ちは解りますが、それによって、スタートにつまずききかねない。よって、将来、買い替えはあるもんだと思っていた方が良いと思います。最初のヨットが気に入って、そのまま一生乗り続ける事だってあります。それならそれで良いわけです。まずは、ヨットを確実に習得し、気軽に乗れるようにする事が大切かと思います。

将来、大きなヨットに買い換えるにしても、動かす理屈は同じです。できるだけ慣れておいた方が、将来を含めて良いと思います。最初が肝心、ここできちんと操船を体得すると後はいくらでも楽しむ事ができます。

人に乗せてもらうという方法もありますが、余程親切な方にお目にかからない限り、自分のヨットを提供して、ヨット操船に徹してくれる人はなかなか居ないと考えた方が良いと思います。従って、小さくても、自分がオーナーになる事は重要かと思います。自分の思い通りにする為です。乗せてもらってるうちは、なかなか難しいと考えた方が良いと思います。

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