エンジン走行
次に慣れるべきは、エンジン走行です。舵を握って、セールを上げる前に、エンジンでそこらを走り回ってください。エンジン走行に慣れる事、真っ直ぐ走れるようになる事です。波とかがあって、意外に真っ直ぐ走れず、ジグザグになる事があります。前方の山とか、何か目標物を見つけて、そこにまっしぐら。できるだけふらふらしないように。 また、陸地の風景が海側から見ますと違ってきます。海から見た風景にも慣れる必要があります。どこから一体出てきたのか?これが解らないと帰れない事になりますね。海から見たマリーナの風景、その回りにある建物、山、そういう風景に慣れて、どこがどこと解る事も大事です。マリーナから出たら、後ろを振り返ってみます。風景を見ます。 海には波がある。波が小さい時はあまり気にしませんが、少し大きくなってきたら、ヨットは横から波を受けるのはあまり宜しくありません。縦に受ける方が良い。斜めの方が良い。真横は感心できません。真下にキールという錘がありますから、ひっくり返る事は無いにしても、揺れが大きくなります。でも、ヨットはモーターボートとは違って、極めて安全な乗り物です。安心して乗ってください。注意すべきは、浅い所には近づかない事です。陸には近づかない。また、場所によっては、急に浅い箇所があったりもします。漁師の網があったりもします。漂流物が流れている場合もある。舵操作でうまく避けて、楽に操船できるようにしてください。これは簡単に慣れると思います。狭いマリーナでの操作に比べれば、何でも無い。 エンジン走行は、真っ直ぐ操作に慣れる。風景に慣れる。舵操作に慣れる。海域に何があるのかに慣れる。海に慣れる。波に慣れる。風に慣れる。 マリーナ出港から、エンジン走行まで慣れたら、これからが本番になります。全てを完全に習得して、次のステップに進むのが一番良いのですが、まあ、時間もかかりますので、少しづつでも、全体を同時にレベルアップしていきながら、習得する事でも良いと思います。出入港は、緊張するかもしれませんが、緊張しながらも出れるようにしておけば、そのうち慣れてきます。気楽にやりましょう。 次は帆走、セーリングですが、その前に、エンジンについて、もう一言。エンジンは熱を持ちますから、冷却しなければなりません。海にはたくさんの海水がありますから、海水を吸い込んで、循環させて吐き出す。これを繰り返しています。この海水は、後部の排気管から吐き出されます。という事は、エンジンを駆けた時、後部の排水口から、海水が流れでているかどうかを必ず確認する事です。これが出ていないとオーバーヒートしてしまいます。毎回、必ず見る。毎回見ますと、どの程度海水が出ているかも、自然に気がつきます。すると、ある日、ちょっといつもより出が悪いなとか気付く事ができます。原因は何か?トラブルになる前に防ぐ事ができます。 海水を吸い込んでエンジンに行くまでの間に、フィルターがあります。そのフィルターが小魚を吸い込んで、長年のごみを吸い込んで、目詰まりをおこす事がある。まずは、フィルターの点検です。他にも原因がある場合がありますが、今のところはこの程度まで。海水を吸って、外に出して、エンジンを冷却しています。 ついでながら、もうひとつ。エンジンは船内にあって、プロぺラは外にある。という事は船底を貫通している何かがあるという事になります。これには2種類あって、ひとつは金属の棒、ステンレスとかブロンズとかの材質の棒です。プロペラシャフトです。それが船底を貫通して、その先にプロペラが設置してあります。貫通している箇所はどうなってるのか?水漏れはしないのか?最もな疑問であります。 ここにはスタンチューブと言われる物がこの貫通場所に取り付けてあります。この役目は水漏れをしないようにする為。ですが、高速で回転するシャフトが船体の貫通箇所で摩擦熱を起こす。それで、このスタンチューブ内にグリスなどを使って、すべりを良くし、同時に調整で持って、海水を若干取り入れて、海水で冷却しています。基本的には、船内に海水が入るとしたら、これです。でもわずかです。ですから、マリーナから出港する前に、この海水の溜まり、ビルジと言いますが、それがどのくらいあるのか、そして帰ってきてからどのくらい増えているのか、これもちょいと覗いて確認する癖を付けます。すると、後々、これが役に立つ。最近では海水が全く漏れないスタンチューブもありますし、もうひとつの方式であるシャフト式では無い、ドライブごと船底に貫通させて設置されているスタイルもあります。これをセールドライブといいますが、これにはスタンチューブが必要とされません。従って、水漏れなし。漏れちゃいけません。それでも、いつもビルジは確認する癖が大事です。 さて、もうひとつ。エンジンで走っていても、セールは出していないにしても、風向きがどっちなのかを気にする事は大事な事です。風下側に、もしかなり深いにしても、岸壁等がある場合、そして、その岸壁に近い場所をエンジン走行している場合、通常はこれでも問題はありません。でも、万一、万一ですが、エンジンが突然停止したら?その時はヨットは風下に流される。もし、距離が短いと対応する暇が無いわけです。滅多にあるわけでは無いでしょうが、そういう事も考えて、風下に障害物がある時は遠回りをする。万一でもエンジンが停止したら、十分に距離があれば、セールを出すとか、アンカー打つとか、次の手を打つ余裕ができる。そういう理由です。 障害物が風上なら、万一があっても、ヨットは障害物から離れていきます。走っているボートなどを見て、何でそんなに遠回りするの?と思った事があるかもしれません。 順を追って、ひとつひとつ、実際の操作を習いながら覚えてください。その時、何故そうするのかも聞いてください。理解した方が忘れません。忘れたら、また聞けば良い。 |