クローズのまとめ
仮に6mの風が吹いているとして、クローズを走ります。シートを引いて、若干ツイストさせて、テルテールがきれに流れるようにします。この時のヒール角度が20度〜25度程度なら、これを基準に考えます。もし、それ以下なら、7m吹いたら丁度良いかも知れません。それ以上のヒール角度なら、5mぐらいの風なら丁度良いかもしれません。それはヨット次第になります。しかし、今6mの風なら、それを変える事はできませんので、その時によってドラフトを少し深くしたり、浅くしたりして適切なドラフト量を探ります。ドラフトはセールの中央からやや前ぐらい。 テルテールがきれいに流れる状態をキープしていきます。上り角度としては、風の方向の変化に合わせて、ジブのテルテールの風上側、或いは風下側の乱れを見ながら、舵を操作します。ひとつの方法としては、例えば、走り出す前に風向の角度を確認しておきます。真北の0度からの風の場合として、コンパスで45度で走るとします。そのまま真っ直ぐ走り続けて、風下側のテルテールが乱れてきたら、風が0度から西側に少し移動した証拠ですから、舵でテルテールがきれに流れるまで上る。仮に、その時の進行方向が35度だったとしたら、風向は10度移動して、350度になった事になります。今度は風上側が乱れてきたら、少し落とす。その時が40度ならそのまま走る。再び風上が乱れてきたら、また落とす事になりますが、最初のコース45度まではそのままで、これ以上落とす事になりますと、例えば、50度とかで走る事になりますと、左側に行った方が、最初の真北の風向を基準に考えますと有利になりますから、ここでタックして、有利な方を走る。これはあくまでそういう仮設定をして、ゲーム性を持たせようという事です。その時々の風向を基準に上りを決めていけば、どこでタックしたら良いのか、そういうゲームが楽しめないか、と思う次第です。 最初の0度からの風に対して45度で上るというのは、もちろん一例であって、これも艇によって異なりますので、セールを引き込んだ状態で、テルテールが左右ともきれいに流れる角度という事になります。また、風向が真北の0度なら計算しやすいですが、350度とか、いろいろですから、最初に風向を確認して、そこから上れる角度を確認しますと、自分のヨットの上り角度がわかります。 実は、上りのギリギリとしては、風上側のテルテールが真横では無く、少し上に上がるぐらいまで上る事ができます。ですが、スピードは落ちる。それで、しなくても良いのですが、わざと風上側のテルテールが少し上に上がるぐらいまで詰めてみて、スピードが落ちますから、それからまた両側がきれにに流れるまで落とす。その繰り返しをしてみても面白いかと思います。言うまでも無く、舵操作はわずかです。舵は大きくきらないのが原則です。タックの時でも大きくきらない。舵はブレーキです。 もちろん、これに風速の変化もありますので、こう単純にはいきません。ドラフトの調整の仕方、位置の出し方等に慣れるには相当な時間が必要かと思います。しかし、これらを頭に入れて、まずはできる範囲で少しづつ進んでいく事になります。 風が弱くなったら、ドラフトを深くして、少し落としてスピードを稼ぐ。風が強い時は、ドラフトを減少させて、セールをツイストさせて、風を逃がす。 とにかく、セーリングはいろんな要素が複雑に絡んできますので、いろいろ試してみる事が必要になりますし、その分経験が必要になります。いろんな知識を持つ事も大事ですし、それを臨機応変に使いこなす事が重要になります。土台文章にして書ききれるものでも無いと思いますが、不足している部分は、実際のセーリングで経験しながら、答えを見つけて行っていただきたいと思います。それがセーリングというゲーム、宝さがしゲームみたいなものかと思います。 また、観察力も大事です。良く観察して、より適切がどこにあるか、目を養っていく必要もあると思います。また、全体の判断力も必要になるかと思います。上りだからと言って、ひたすら上れば良いわけでも無く、波がある時とかパワーが必要になりますし、臨機応変さが必要とされます。ひとつひとつの理屈を良く考えて対応していきますと、そのうちそれらが積み重なって、この臨機応変さが生まれるようになると思います。 レーサーでも無いのに、そこまでするか?という疑問も沸くかもしれません。しかし、セーリングを楽しむという前提で行けば、ただ無闇に走るだけでは、最初の頃は良いのですが、慣れていくに従い、面白さに欠けてきます。やはりゲーム性があった方が面白くなりますので、やれるところまでやった方が、深く入って行った方が、複雑にはなりますが、複雑だからこそ、その分高度なゲーム性を帯びる事になると思います。10年、20年の歳月を費やすと思えば、焦らず、じっくりその時々のゲームを楽しむ事ができるかと思います。実際は、ここの文章で書く程、簡単ではありません。でも、簡単なら、それ程チャレンジする価値も無い事になります。セーリングは入門としては、そう難しくない。しかし、その先が難しい。 上り一杯の角度で走る時、セールも引き込んでいる時、舵操作のは幅は非常に狭くなります。へたするとすぐにセールの風上とか風下のテルテールが乱れてきます。それだけ繊細なセーリングになるでしょうし、集中力も必要になる。波があると、左右に振られやすいですから、なかなか舵操作で対応できないかもしれません。そこで、少し落として走りますと、当然セールも少し出して走りますと、舵操作の幅もできて、対応がし易くなる。そういう状況判断なんかも必要になってきます。 いろんな事を知って、いろんな状況判断ができて、臨機応変に対応できる事がセーリングの面白さにも繋がると思います。今は状況がこうだから、こうやって走る。ただ、今はクローズを走っているという事、スピードだけでは無く、上りも稼ぐ事、それを念頭に入れておかなければ、ゲーム性が薄くなってきます。 |