ヨットについて
ヨットはどんな使い方をするかによって、選択が異なってきます。例えば、海外に行くような外洋の旅に使うヨットは、頑丈であり、荷物の搭載能力もあり、また、操船においても、微妙さよりも、多少ほっといても真っすぐ走ってくれるような、ある意味鈍感さも必要かと思います。一方、多くの場合、そこまでは行かないのが普通でしょうから、沿岸の旅を中心したヨットというのもあります。また、帆走性能を高めたレーサークルーザーというタイプもあり、レーサーという言葉はついていますが、何もレースする為に造られたと考えなくても、高い帆走性能を楽しめる、クルージングも楽しめると考えても良いと思います。 20年ぐらい前の、一般に使われていたクルージング艇は、どちらかと言うと、現代のレーサークルーザーに近かったと思います。もちろん、技術的な違いもあり、重量なんかも重く頑丈ではあったのですが、クルージング艇と言っても、セーリングをするクルージング艇だったと言えるのではないかと思います。 それが徐々に変化していきます。コクピットにあったメインシートトラベラーが、コクピットにあったら邪魔という事で、キャビンの天井に移動し、船体の幅が広くなり、天井も高くなっていきます。お陰で、広いキャビンと広いコクピットを手に入れる事になります。そういう意味では、クルージングするヨット、セーリングするヨットという分離が大きく広がってきているとも言えると思います。つまり、旅を中心に考えるかセーリングを中心に考えるかになると思います。 そこで、セーリングを楽しむという観点で見ていきますと、セーリングするなら性能が良い方が良いわけです。実際走りながら、その感触を楽しむのに、鈍いとか、性能が悪いとか言うのは面白さが違ってきます。セーリングを楽しむヨットとしては、レーサークルーザー、このレーサーという言葉に惑わされ無いようにしてください。何もレースに出る為では無く、クルージング艇のセーリング性能を高めた程度に考えて良いと思います。クルージングに対しても十分使えますし、内装、装備も充実しています。但し、このジャンルのヨットに乗るには、クルーを必要とすると考えた方が良いかと思います。レースでは無いセーリングとしてなら、自分自身とクルーの二人居れば良いかと思います。もちろん、サイズが小さいならば、そうでもありませんが。 もし、シングルハンドをも含めたセーリングをもっと気軽に乗りたいという事であれば、デイセーラーがお勧めです。セルフタッキングジブに大き目のメインセールで、操作はぐんと楽になりますし、中でも、アレリオンやハーバーヨットのジブブームを持つヨットでは、このままでダウンウィンドさえも走る事ができます。クルージング艇全盛の時代に反して、セーリングをもっと楽に楽しむ方法としてデイセーラーが造られるようになった。気合を入れて、レースで勝つぞというセーリングでは無く、 もっと気楽に高い質の帆走を楽しみたいという考えです。 この二つの、レーサー/クルーザーとデイセーラーの共通点は、メインシートが、ブーム後方で下にひかれている事です。テコの原理で、クルージング艇はブーム中央あたりで引いていますが、こちらの方が、より大きな力を必要とする事になります。一方、ブームエンドから引きますと、その半分程度の力で操作ができ、大きなヨットは別にしても、30フィートオーバー程度ですと、ウィンチを使わずに、ロープとブロックの組み合わせで操作ができますので、舵を持ったまま引いたり出したりが可能となります。つまり、舵を握っていて、ブローが急に入った時でも、すぐに対応ができるという事になります。 その点、クルージング艇になりますと、シートが遠い位置にありますので、どうしても、もう一人は居てほしいという事になろうかと思います。クルージング艇は、どちらかというと旅を主体にして、セーリングの妙とかを味わう事からは少し離れて行っていると思います。もちろん、旅を楽しむという面では良いのかもしれませんが。 ですから、ある程度の操船ができるようになったら、旅を中心に乗るのか、あるいは、旅もするけれども普段はセーリングを楽しみたいと思うのか、ここらあたりで選択は違ってくるかと思います。 もちろん、当社としては、セーリングが面白いとして、セーリング自体を楽しむ事をお勧めしています。 クルーが居るのか、或いは、たまにはシングルでも乗りたいのか、そういう点で、いろんなヨット、いろんな艤装の仕方があります。これらの事は、ある程度セーリングを真剣にしていきますと、自ずと解ってくるかと思います。 |