第四話 シングルハンドの意義

10年とか、或はそれ以上の長い期間をかけて、ヨットをやるというのは、レジャーの域を越えて、趣味の領域になります。そうしないと、長い年月をかけるヨットライフに充実感なんか生まれてこない。たまに、レジャー的に楽しむのも、もちろん良いが、それが主たる目的になったら、果たして、10年も充実感をもって続けられるだろうか? 甚だ、疑問に思うわけです。

それで、セーリングを求める事になります。セーリングの何たるかを、ちょっと深く追求して、セーリングを自分のものにしたいと考えます。そういう時、ひとりの方が、実に都合が良い。まずは、自分の都合で動く事ができます。クルーの都合は考えなくて良い。さらに、自分が疑問に思ったりしている事を、自由に試す事ができます。誰かに気を使う必要もありません。

セーリングを求めてヨットを出す時、それはシングルが都合が良いのであります。ゲストを迎える時は、レジャーで結構、シングルの時は趣味としてのセーリングで、セーリングを追求して楽しもう。

デイセーラーは、シングルハンド仕様です。それが一般ヨットとは大きく違うところです。だから、セーリングを求めるにもってこいなのであります。最近では、でっかいヨットを機械を駆使してシングルも可能と謳うヨットも出てきましたが、理屈はそうでも、あのでかさは、シングルでの気軽さは無い。やっぱり、レージャー的な遊びになる。

もちろんん、レジャーも大歓迎なのですが、最初に書きました通り、10年も持たせるのは難しいだろうと思います。だから、滅多に乗らなくなる。レジャーならそうなってしまう。それが、何かを追求したりしますと、状況は変わります。知りたくなるし、試したくなるし、その結果を味わいたくなります。
趣味とは簡単に言えば、その分野に少しで精通したくなるものです。それが面白さなのであります。それには、シングルハンドは重要な要素です。

舵を握って、その感触が常に自分の手に伝わります。そして同時にシートを引いたりして、その感触も感じるし、力加減も分かるし、同時に、ヨットの変化も解る。いろんな感じが掴めます。だからこそ、面白くなる。

その面白さを受け取るには、真剣にセーリングを求める必要があります。何もプロになるわけじゃなし、とは言っても、やっぱり上手くなっていくプロセスこそが面白さですから、上手くなりたいと思う事が重要です。

舵を取りながら、ブローが入って、片手でメインシートをコントロールして抜ける。その一連の変化が感じられて、実に良い気分です。風向の変化や風速の変化に対応する時、自分自身で観察して、感じて、うまく捌く。いかにも、自分が操船しているという感覚がありありと感じられます。それが面白さではないでしょうか?

チームとしてのセーリングももちろん、良いわけですが、レース主体のチームでも無い限り、なかなかうまくいかないのではないかと思います。

それで、やはり、デイセーラーにおけるシングルハンド仕様というのには意義があると思うわけです。その仕様は、操作において手が届くというだけではありません。安定性の高さや気軽さ、セーリングを充実させているのがデイセーラーです。セーリングを求めるなら、はやりデイセーラーの意義は高いと思う次第です。セーリングを求める。それがデイセーラーのコンセプトです。そして、そのセーリングの質は高い。実に滑らかさを感じます。

次へ      目次へ