第六十六話 価格

デイセーラーが良いと言っても、価格は安くありません。とは言っても、一般量産の沿岸クルージング艇を基準にするなら、他はみんな高いです。基準をどこに置くかです。

何故、高いのか? 簡単に言えば構造も工法も違うし、職人の手間のかけ方も違う。何故、そうするかは、セーリングを重視したからという事になります。内装の家具類なんかは、それに比べたらコストはたいしてかからないと思います。

だから、一般メジャーなヨットにはなりにくい事も事実です。価格は重要な要素ですから。でも、価格を落とす為に、手間を省いて、構造や工法もそれなりにして建造しても、見かけは同じにはできるでしょうが、やっぱりセーリングは違って来ると思います。デイセーラーから、その要素を抜き取ったら、その価値は無くなる。

もっと安いデイセーラーは無いか?と散々探してきましたが、一艇も見つける事ができませんでした。もちろん、小さな安いヨットはたくさんあります。それらもデイセーラーと呼んでいたりする事もありますが、でも、やっぱり違うんですね、今日のデイセーラーコンセプトとは。

レーサーもそうですし、外洋艇もそうですが、どこかに平均以上のレベルを求めると、それなりの建造をしなければなりません。それには、構造とか、工法、素材とか、それに職人が必要になりますから。だから、レーサーも外洋艇もメジャーにはなれない。デイセーラーも同様であります。

沿岸クルージング艇が一般だとすると、これらはちょっと飛び抜けています。もちろん、乗り方の違いで、沿岸クルージング艇で充分という事もありますし、それ以上何を求めるか、求めないかの違いになります。価格はもちろん、サイズもありますが、質もあるという事になります。レースという質、外洋という質、セーリングという質です。それを平均以上に求める事になります。だから、どうしても、コストが高くつきます。

その価値を認めるかどうかになります。より大きなサイズも良いかもしれないが、ひとサイズ、ふたサイズ落としてでも質を求めるという考え方もあります。質はできるできないでは無く、如何にを問います。それが味わいや性能という事になってきます。しかし、求めればキリがありません。でも、どうでも良いわけでもありません。一生つきあっていくヨットですから。

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