第六十九話 ライフスタイル

ヨットを始めるとすると、これまでのライフスタイルに海というフィールドが加わります。地球は陸と海です。その両方を手に入れる事ができます。陸上においては、自分が住んでいる国、地方の土地柄、慣習というものがあり、もちろん、海に出ても、その海域における環境というものがあり、そこに従う事になります。

日本は海洋国です。四方を海に囲まれているのですから。でも、日本は昔から海を楽しむ事としては見て来なかった。戦後からの復興と発展を目指してきたわけですから、当然の結果かもしれません。よって、海岸線は商業港は発達してきたものの、遊びとしての施設においてはなおざりになってきました。そういう意味ではヨットにとって、好ましい状況とは言えません。

アメリカでの事ですが、ヨットやボートを桟橋につけて行けるレストランとかがありましたし、ヨーロッパでも同様です。こういう施設が、あっちこっちにたくさんありますと、ヨット/ボートはもっと流行るのかもしれません。しかし、残念ながら、日本にはそういう施設は少ない。マリーナではオーナー専用のレストランがあったり、気軽に集うバーがあったり。日本のマリーナでも無い事は無いが、何だかちょっと違う。どうも賑わっていない。

海外のマリーナはリゾート地であり、社交の場であったりする。でも、日本ではどうも状況は違う様です。マリーナは大人の遊園地。そして海はスポーツするフィールドです。海でスポーツして、戻ったら、マリーナでまた楽しめる。そうあれば良いなとは思います。

マリーナをどうこうする事はできませんし、少なくとも、欧米スタイルを期待する事は、今の処できません。それで、半径5〜10マイルぐらいを、スポーツフィールドとしして考えても良いかなと思います。その海が世界に繋がっている事は確かにしても、それはまた別の話。そこをスポーツするフィールドと設定して、いかにセーリングを堪能するかという事を考えた方が良いような気がします。

自分のライフスタイルに、ヨットと海を持ち込んで、何をするかは、そのライフスタイルの質を変えていきます。遠くに思いを馳せるのも良いが、そのフィールドで、深くセーリングを堪能し、ヨットという物を味わうのも悪くない。

変な言い方かもしれませんが、ヨットで海外に行くのはすごい事ですが、でも、そんな事しなくても、飛行機で行って、そこでヨット借りてセーリングする方法もある。もっと気軽な方法です。もちろん、日本からヨットで行くという意義もありますが、そうで無くても良いかと思うのです。そうすれば、もっと気軽に世界の海を堪能できる。

それは兎も角、ホームポートでどうするか? その方が重要です。特別イベントで何をするかよりも、日常にどうするかの方が重要です。それがライフスタイルに大きく関わる。

推奨スタイルは近場のスポーツセーリング。野球見に行ったり、サッカーの試合見に行ったり、或は、ゴルフしたり、スポーツジムに通ったり、ジョギングしたり、映画見に行ったり、デパートに買い物行ったり、レストランで食事したり、それと同じ様に、セーリングをスポーツする。だから、気軽にできる事は重要です。デイセーラーはそんなスタイルに相応しいと思います。気軽ですが、深くセーリングを味わいたい。日本にとっては、デイセーラーこそが相応しいとさえ思ってます。

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