第四話 何が違う? やはり、セールフィーリングでしょう!


      

セールフィーリングとは実に曖昧なものですが、レース目的で無い限り、求めるは,何だかんだ言っても、このフィーリングではないかと思います。スピード性能さえ、フィーリングとして捉えます。それが自分にピタリと合致すれば、この上ない気分にさせてくれます。デイセーラーのセーリングはこのフィーリングを求めるセーリングではないかと思います。

ところが、このフィーリングを示すデータなんてものは存在しないので、それを判断する材料として、重さ、セール面積、スタビリティー、船体剛性、操作性、等々、諸々の要素が全体でフィーリングを創りますので、これらを見ていきます。さらに、見た目のデザインもフィーリングに大いに影響すると思います。好きなデザインだからこそ、気分の高揚感も増してくると思います。

データを見てスピード性能を推測します。これは、その性能がフィーリングに及ぼすレベルを想像する事になります。ヨットは速い方が面白いのはそうだろうと思いますが、それもレベルの問題で、それに対する人の問題になります。勝手な判断ですが、SADRが20以上行けば、結構スイスイ感を感じるのではなかろうか?これはクルージング艇がそれ以下であるからです。20以上行けば、もっと強調されます。そして、一般的なセーリング好きとしては25あれば十分過ぎるぐらい充分なのではなかろうか?これ以上に行きますと、レーサーレベルに近くなって行く。

このSADR値が与える数値は、フィーリングとは直接関係はありませんが、でも、そのスピードから来るスピード感、つまりセールフィーリングは速いというフィーリングが与えられます。そして、これを支えるのが、船体剛性で、船体剛性が高いヨット程、プレッシャーに負けない強さがありますから、そのセールフィーリングを増幅させてくれます。たとえ、同じ速さであっても、この船体剛性の違いで、フィーリングも違ってきます。

という事で、SADR20前後〜25前後あたりがお薦めなのであります。もちろん、人によって求める処は違いますから、絶対ではありませんが、これまでに乗ってきたヨットに寄っても違います。レースを一生懸命してきた人の乗換とか、クルージング艇だった人の乗換とか、その人の背景にも寄ります。でも、この数値の範囲内であれば、ご満足頂けるのではないかと思います。

SADR値を見れば、そのヨットがどんなヨットであるかが解る。と以前書きました。それぞれのコンセプトは、セーリング重視だろうが、キャビン重視だろうが、SADR値に表れてきます。何故なら、それは重量とセール面積の関係だからです。クルージング艇は重くなります。レーサーは軽い。それに対して、どんなセール面積を与えるかは、必然的にバランスされます。重いクルージング艇に超でかいセールをセットするなんてありません。ですから、SADRはスピード性能ばかりか、コンセプトさえも見て取れると思います。

もちろん、ちょっとした例外はあります。デイセーラーでも、ある程度は内装を充実させると重くはなりますが、その分、より大きなセールをセットしてあるのもあります。また、キャビン一切無しで、超軽量、でも、セールは比較的小さい。この狙いは、より簡単操作になり、それでも結構速いという処を狙っています。

上の写真ブレンタ氏のB34です。デイセーラーにしては、なかなかキャビンが充実しています。そこで、排水量を見ますと、案の定、3,300kgです。 やはりちょっと重い。ブレンタ氏のデイセーラーは速いのが定番です。でも、このモデルはちょっと重い。それで、セール面積を見ると、67uもあります。他の同サイズよりでかい。それで、SADRは30に達しています。セール面積をもう少し落としても、とは思いますが、それは余計なお世話。結局、内装を充実させて、でかいセールにして高速狙い。操作は電動ウィンチという事になります。

この辺りは、各データを見て、内装の充実度なんか見て、総合的に判断できると思います。結局、デイセーラーが出現して、あれから約30年を経過してきました。そうすると、各造船所も、いろいろ考えて、同じコンセプトでも、いろんなバリエーションが生まれ、他社との差別化に努めます。価格もそうです。高い、安いにはそれなりの理由がある。それらを含めて、総合的に判断すれば良いのではないでしょうか?

という事で、弊社では現地の造船所価格をオープンにしています。そうじゃないと本当の価格比較ができませんので。どこで建造しているかによっても、運送費が違ってきます。でも、造船所価格は、それらに関係なく、純価格です。


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