ヨットを自由自在に操る事ができたら、どんなに面白いだろうか？　好きな時にさっと出して、好きな様に走れる。その時の風を楽しむ事ができる。それをシングルでできるなら最強です。強風でも、微軽風でも、ちゃんと対応できる。そうなれれば楽しいに違いありません。 しかしながら、自由自在のノウハウはヨットの本には書いてないし、誰かに聞いてもわからない。これは仮に自分がそうであっても、人にそのノウハウの話をする事ができません。セールカーブについては本に書いてある。舵操作も、タッキングもジャイビングも、セーリングの理屈はみんな書いてあります。でも、それらは自由自在のノウハウとは違います。 逆に、詳しいセールカーブについて知らなくても、舵をどう操作するのがより効率が良いのか知らなくても、自由自在にはなれます。セーリングのノウハウは大雑把でも自由自在になれる。自由自在は、如何に効率良く走れるかでは無く、如何に速いかでは無く、あらゆる状況において、如何に臨機応変に対応する事ができるかだと思います。下手でも、自由自在感を満喫する事ができるようになれます。 シート操作と舵操作、これしか操作しないでは、より速く走るには効率的ではありませんが、でも、自由自在に好きな方向に走る事ができます。自由自在に効率は関係無い。調整は大雑把でも良い。自由自在の楽しさは、また別の処にあると思います。簡単に言えば、慣れる事に尽きます。最も簡単な操作だけで、何度も乗る事によって、身も心も慣れていきます。そうすると、考える事も無く、自動的に動けるようになれる。それも最も少ない労力で。 ただ、最も簡単な操作で、慣れてしまうと、そこからマンネリ化してしまうかもしれません。自由自在をおおいに満喫すべきですが、そこから少しづつ操作のレベルアップを図って、同時に、そこで自由自在をまた感じてという具合。そうしたら、マンネリ化も無く、退屈も無く、進化を楽しむ事ができる。それは少し高い次元での自由自在を感じる事ができる。 これは何もセーリングだけに限った事では無く、クルージングにしても同じ事が言えると思います。メインテナンスでも同じです。慣れたら先に進むのが、何十年も続けられる要因になると思います。でも、セーリングはクルージング派の方もやるわけですから、全ての方に、まずは最も簡単な操作で、自由自在になって頂きたいと思います。それを感じて頂きたいと思います。難しい知識や技術なんか必要無い。それらは、後の発展において楽しみます。少なくとも、クルージング派の方にも、最も簡単なセール操作による自由自在は獲得した方が良いと思います。 これはヨットライフの始まりに過ぎません。ここからもっとセーリングを探求していくか、或は、クルージングを探求していくかに分かれていくと思います。そして、どちらにしても、その出発点に、自由自在セーリングがある事が、その先の探求をより面白いものにしていくと思います。

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