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多くのオーナーの実際の用途における航行区域は沿岸です。世界の旅を求める方もおられますが少数でしょう。日本一周をするにしても沿岸です。という事は殆どの場合沿岸艇で十分用をなすわけで、その中でもセーリングの安心感を求めるなら外洋艇を選択する事もありという事になります。そしてこれらは旅を楽しむ事が主になりますが、そこでもうひとつのコンセプト、約35年ぐらい前からでてきた新しいコンセプトがデイセーラーです。このコンセプトはそれ以前の小さいヨットとは全く異なり、セーリングを如何に楽しむかを主として生まれたものです。これはもちろん沿岸用ですが、セーリングそのものを重視したヨットでスピードもさることながらセーリングの質を求めたコンセプトだと思います。
デイセーラーで何を主に楽しむかってセーリングそのものとそれを気軽に操船できる事、それも一人でそれができる事でしょう。今日ではそれを60フィートオーバーというサイズにまで広げています。これはパワーアシストの普及がそれを可能としてきた事も要因のひとつでもあります。 シングルができるという事は全くの未経験者を同乗させる場合でも手を借りる必要も無く全部自分でやれる。ゲストにはコクピットで座って頂いているだけで良い。そんなヨットは他にはありません。もちろん皆で走らせて楽しむ事もできます。
これは操船において舵を握ったままで操作する艤装に手が届きます。こういう配置の仕方は一般のヨットにも一部出てきましたが手が届くだけでは無く、ヨット全体のボリュームから来る圧倒感が一般艇に比べかなり軽減されています。これも大きな要因だと思います。気持ち的にも楽になれます。
もう一つのポイントはセーリングそのものです。それはスピードばかりを目指すものとは違いセーリングにおけるセールフィーリング、つまりセーリングの質です。波や風から圧倒的なプレッシャーがヨットにはかかります。そのプレッシャーに負けない船体の強靭さが実に滑らかなセールフィーリングを感じさせてくれます。それこそがセーリングにおける質の違いです。その強靭な船体を確保しつつ船体の軽量化を図る。それをどの程度までやるかは造船所やデザイナーのスピードパフォーマンスへの意図があります。ですからデイセーラーコンセプトの中ではレーサーに匹敵するスピードからクルージング艇より少し速いスピードまで実に幅広いバリエーションがあるというのもデイセーラーコンセプトの大きな特徴のひとつです。
デイセーリングという近距離でのセーリングにおいて皆でピクニックもするでしょうし、近場への旅もするでしょう、これらは一般クルージング艇でもできる事です。しかし、敢えてデイセーラーというコンセプトを建造するにあたって最も重視しているのはセーリングにおける質の違いです。それらはセーリングにおけるフィーリングの違いに繋がっていきます。グッドフィーリングです。
セーリングにおいてただ走るとか、速いとか遅いとか、或いはどこかへの移動とか従来のセーリングに対する捉え方とは異なり、セーリングの質をもってセーリングを楽しむ事を目指し、その為にエリアは近場を設定しシングルハンドを設定しました。近場でのセーリング、ピクニック、そして旅も含めていますがあくまで近場の想定ですから内装の豪華さや広さにはこだわらず、敢えて、海面に近いコクピットや操作性を重視しています。特に忙しい方々には遠くへ旅する時間も無い。それなら近場でグッドフィーリングを堪能しては如何でしょうか?一般的な沿岸艇でもセーリングはできます。でも、違うんですよね。
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