第二十八話 違いが解る

   
   

セーリングを愛でる事を続けていきますと自分のヨットのセールフィーリングが自分の身体に身に付くようになると思います。すると他のヨットに乗った時その違いが解る。それはスピードに関する事だけでは無く、動きの違い感覚の違いとして解る。いわゆるクオリティーの高いヨットに乗りますと解ります。逆にそうでも無いヨットにのりますと自分のヨットのクオリティーが感じられる。

セールが違えばその質が解る。舵を操作すれば舵そのものの感じとかヨットの動き方の違いが解る。ヨットはキャビンの広さとか装備とか一目瞭然で誰でも解りますがセーリングの質が解るというのは簡単な話ではありません。それが解ったからどうした?と言われればそれまでなんですが、質が解るというのは簡単では無いだけに何か嬉しい。自分の感覚が洗練されてきたという感じがします。

自分の感覚を洗練させていくにはセーリングを愛でるというのが一番良い方法ではないかと思います。それは如何に他のヨットより速く走らせる事ができるかという事より自分のヨットとセーリングに自分が馴染むという感覚です。誰でも何度もやっていけばそういう感覚が自然に身に付く。ある日突然解るという感じかな。

楽しさや面白さを求めるのでは無く、その日のセーリングをあるがままに感じる。それを何度も繰り返す事で感覚は自然に洗練されていくものだと思います。10年、20年、もっと長いキャリアを持つ方々は大勢います。その長いキャリアに自分のセーリング感覚を持つという事はかなり意義のある事ではないかと思う次第です。


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